高市早苗(たかいち・さなえ)首相が愛用していることで注目されている「濱野皮革工藝」(はまのひかくこうげい)のバック。
上品な高級感がとっても素敵なんですよね!
ですが、バッグをネットで検索すると、”HAMANO”(濱野皮革工藝の制作)と
”傳濱野”(読み方=でん はまの)の2つが出てきます。
どちらも「皇室ご用達」を掲げており、また名前には「濱野」がはいっています。
一体、どの様に違うのか、どちらが本物なのか?など気になってしまう人も多いかもしれません。
調べてみましたが、どちらも本物でした。
実はこれは、明治時代からの伝統を守り続けてきた濱野家の努力のまつわっているのです。
濱野皮革工藝の4代目として同社を率いたのが濱野有(はまの・ゆう)さん。
今回は、濱野有さんの経歴とブランドに込められた思いをたどりながら、
“伝統をつなぐ”ということの意味を考えてみたいと思います。
1.濱野有とは?「濱野皮革工藝」4代目としての歩み!
濱野有(はまの・ゆう)さんについてです。
「ハマノ」の感じが「浜野」ではなく、難しい方の「濱野」になっています。
浜は濱の旧字ですから、濱野有さんは、随分古い、昔の人なのでしょうか?
濱野さん自身はまだまだお若いおじさまのようですが、
調べてみると、濱野さんは、明治時代からの、年号でいうと
1880年(明治13年)に創業された「濱野皮革工藝」の4代目として生まれました。
濱野家は140年以上にわたり、日本のバッグづくりを牽引してきた老舗というわけですが

明治時代からあるから、お名前がその当時からあった古い方の漢字なのね!
初代は濱野さんのひいおじいちゃま、二代目はおじいちゃま、3代目がお父様と、直属に引きつがれてきて、濱野有さんがいらっしゃるわけです。
濱野皮革工藝のカバンは、濱野有さんの祖父の代から、皇室ご用達ブランドとななっています。
濱野さん自身は慶應義塾幼稚舎から大学まで慶應一貫教育を受けた生粋の“慶應ボーイ”。
大学時代はアメリカンフットボール部で活躍していました。
幼少のころから本物を知る」「本物を追求する」という概念で、高級品
大学卒業後、家業である濱野皮革工藝に入社し、デザインやブランド戦略など幅広く携わり
当時から有さんは、伝統の中に新しい感性を吹き込もうとする姿勢を持ち、
「クラシックとモダンの融合」をテーマにした商品づくりを推進していたといいます。
また、大学出てすぐ会社にはいったため、昔からカバンを作っている、職人さん達と沢山コミュニケーションをとって、皮作りの工程、知識、思い、などを深めてこられました。
濱野有 濱野皮革工藝を退職した理由とは?
しかし濱野有さんは、老舗の後継者という立場をいったん手放し、新ブランド「傳濱野」(読み方は:でん・はまの)を立ち上げた経緯があるのです。
なぜ濱野有さんは新しい道を歩んだのでしょうか。
そんな濱野有さんですが、2009年に濱野皮革工藝の経営が、濱野家ではなく、第三者の資本にわたりました。
理由は明記されてませんが、そこにはおそらく会社が傾いたなど
資本関係により、そうせざる負えない理由があったと思います。
第三者の手にわたることで、これまで濱野家が4代にわたって築いてきた、ある意味”わがままなバッグ作り”ができなくってしまった。
そのため、当時当主だった濱野有さんは、大きな決断をして、濱野皮革工藝の経営権を第三者に渡したうえで、いったん退社(退職)。
一方で、濱野さんご自身が、これまでのやり方で守りたい伝統を引き続き行うため、
2013年、新ブランド”傳濱野”(でん・はまの)を立ち上げます。
濱野有の濱野家が濱野皮革工藝もどって戻られた!
このようにして、濱野有さんは、濱野皮革工藝から独立した形で、傳濱野を立ち上げてこられましたが
その後、約12年たった2025年現在。
嬉しいニュースがありました。
2025年10月27日、濱野皮革工藝の公式サイトに、多くのバッグファンを驚かせる発表が掲載されたのです。
結論から言うと、2009年に経営権を手放して以来、12年間離れていた濱野家が、ついに濱野皮革工藝に復帰することになったのです。
復帰のきっかけは、2025年10月1日に実現した資本の買い戻しでした。
濱野有さん(先に述べましたが、濱野家の現当主で、傳濱野はんどばっぐの創業者)の
なんとビジネスパートナーが協力し、濱野皮革工藝の経営権を取り戻すことに成功。
これにより、濱野家は再び元の家業に参画できることになったというわけです!
濱野家が12年間は離れていた間も、軽井沢の工場には、昔から務められてた職人さんがまだバック作りを続けてくれています。
公式発表には「現在職人一同張り切っております」という言葉があり、喜びっぱいでした。
更に時は移り今月1日、濱野家が濱野皮革工藝に参画できることになりました。
傳濱野を立ち上げた時のクリエーション、経営両面のパートナーであるデジサーチアンドアドバタイジングという会社とその関連会社の社会的事業承継、資本に左右されず安定的事業継続(※)を目指すUKETUGIで濱野皮革工藝の資本を縁あって買い戻させていただけることになりました。(濱野皮革工藝株式会社公式HP 2025年10月27日)
1880年(明治13年)に「濱野伝吉商店」の名で創業した濱野清太郎から4代目。
祖父の代に皇室御用達を賜り、幼少期から本物志向、本物を追及する家庭で育つ。
現在も皇室御用達を賜り、代々受け継ぐ志と製法を守り続けている。大学時代はアメリカンフットボールで活躍。
趣味:ピンブローチ集め
2.濱野有の 高市早苗も愛用する「濱野皮革工藝」で守られている伝統や気品とは?
「濱野皮革工藝」は、日本のバッグ文化を代表する存在ですが、
濱野有さんはどのようにしてこれまでの伝統をまもってきたのでしょうか?
大きくはこのような事だと言えます。
特に、今でも、90歳をむかえ、濱野皮革工芸を支えてきた岩間重夫(いわま・しげお)さんとの深い交流を続け、
皮への思いを大事にされていることは、公式Youtubeチャンネルでも公開していらっしゃいます。
岩間重夫さんは、濱野家の親子初代から有さんまでの4代の人物全員を知っておられる唯一の職人さんで、大ベテラン。
岩間さんが、牛革がまだ貴重だった時代からカバンづくりをはじめていて、
例えば牛皮をどう見分けるか、など非常に丁寧に見ていらっしゃる。
皮の腹部と呼ばれる内側は少し繊維がゆるく
皮の背中側は、繊維が固い。基本的には背中でつくる。
どこで裁断すれば、バックがよじれない
皮を毎朝、手で触りながら、ああでもないこおでもないと、小さな声でぶつぶつ仰っている姿をみていたそうです。
それは皮との対話だったのです。
しかし、濱野有さんは、長い歴史をもつブランドであるがゆえに、新しい試みを行うことには多くの壁もあったようです。
伝統を守ることと、変えることの間で葛藤しながら、
“自分が本当に貫きたいブランド哲学”を見つめ直す時期を迎えていきます。
皇室御用達ブランドとして知られ、格式と品格を重んじるそのデザインは、
長く“信頼の象徴”として愛されてきました。
近年では、高市早苗首相が愛用している「ディライト トートバッグ」が話題に。
価格は13万円弱。ご注文が殺到し、3月まで入荷待ちとなっているようです。
初出邸の際に手にしていた姿が報じられ、SNS上では「品がある」「本当に仕事ができる女性のバッグ」と多くの注目を集めました。
このバッグは、濱野皮革工藝の理念である「エレガントさとアクティブさの両立」を体現したモデルで、
現代のキャリア女性を支える実用性も兼ね備えています。
ブランドとしての確かなクラフトマンシップと、時代を超えた美意識が感じられますね。
3. 濱野有 なぜ老舗を離れたのか?退社と「傳濱野」(でんはまの)設立の理由
濱野有さんが老舗「濱野皮革工藝」を離れたのは、2012年のこと。
明治期から続く伝統ブランドの4代目として育った彼にとって、その決断は決して軽いものではありませんでした。
濱野皮革工藝は、皇室御用達として知られる日本屈指のバッグメーカー。
「職人技」「品質」「品格」を守り続けてきたその姿勢は、まさに“伝統”そのものでした。
しかし、有さんが目指したのは、その伝統をただ守ることではなく、「次の100年」に向けて進化させることだったのです。
濱野有さんが退社後、2013年にに立ち上げたブランドが、「傳濱野(でんはまの)」。
「傳」という文字には、「伝統を受け継ぎながら、次世代へと伝える」という意味が込められています。
公式サイトによれば、傳濱野では「職人の手仕事」「お客様の声」「ものづくりの物語」を大切にし、
“使う人の人生に寄り添うバッグ”を目指しているといいます。
つまり、有さんにとっての独立は、伝統への“反発”ではなく、“再定義”。
長い歴史の中で確立されたブランドの枠組みでは表現しきれない、
より人間的で温かみのあるブランド哲学を形にしたかったのだと考えられます。
傳濱野のバッグには、ひとつひとつに「物語」があります。
ある商品は「お母さんの記念日」をテーマに、あるものは「働く女性の誇り」をテーマに作られており、
“ただのバッグ”ではなく、“人生の節目に寄り添う贈り物”としての存在を目指しています。
有さんはこうした姿勢を通じて、「伝統とは、ただ続けることではなく、時代とともに息づくこと」
という信念を体現しているように感じますね。
4. 濱野有 まとめ“伝統”を継ぐとは?形を変えて命をつなぐこと
老舗を出るというのは、簡単な決断ではありません。
しかし濱野有さんは、その中で自分なりの「伝統の継ぎ方」を見つけました。
それは“過去を切り離すこと”ではなく、“未来の形に変えていくこと”。
高市早苗首相が愛用するバッグに込められた上品な美しさ、
そして傳濱野のバッグに感じる温かい人間味——
そのどちらにも、濱野家の精神が確かに息づいているように思います。

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