豊田章男(とよだ・あきお)さんといえば、日本が誇る経営者、実業家であり、
トヨタ自動車の前社長であり、現会長さんでいらっしゃいますが。
豊田章男さんの言葉って、どこか人間味があって、聞く人の心にすごく残りますよね。
経営者という立場を超えて、「自分の言葉」でまっすぐに話す姿が印象的です。
今回は、そんな豊田さんの名言やスピーチから、言葉に力を宿す表現力について考えてみたいです。
豊田章男さんの母校のバブソン大学での卒業式でのスピーチを通して見える「表現力の源泉」を探ります。
1.豊田章男の名言の数々を紹介
豊田章男さんの発言には、経営だけでなく、「人としての在り方」に通じるヒントがたくさん!
例えばですけど、社員に向けたスピーチの中で豊田さんは、「人は失敗を通してしか強くなれない」と語り、挑戦する姿勢をなによりも大切にしてこられましたし
メディアでは、「現場が主役」「クルマは人を笑顔にするためにある」と言った言葉もたびたび登場します。
どの言葉にも共通しているのは、「上から語らない」「自分の実感で語る」という姿勢。
この”実感のある言葉”こそ、豊田章男という一人の人間の魅力を支えているように感じます。
「つねに変化し続けなければならない」失敗する自分を認めてくれる言葉
豊田章男さんは、トヨタが目指す「もっといいクルマづくり」には「改善」が不可欠である、というお話の中でこのように語っています。
それは
成長し続けるためには、つねに変化しなければならない。
リスクを取ってでも、変化し続けなければならない。
後退は、成長の過程に必要である。(「豊田章男」片山修)
まっすぐ右肩上がりの直線だけが成長ではなく、一回だろうが二回だろうか何度沈んでも、最後にプラスに転じていれば、それは成長。
だから失敗することを恐れるな。なのですね。
つまり成長の仕方には人それぞれの形(曲線)があるいうことですね。
他人と比べて落胆する必要はないのですよね。¥¥¥
あと、この豊田さんの言葉と近いことを、時代はちがえど、
明治から慶應の時代を生きた福澤諭吉が学問のすゝめの中で説いた一節にもあります。
「賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとによりてできるものなり」(学問のすゝめ初編)
人間みな平等であるはずだが、賢人と愚人はいる。その違いは何かと言えば、学ぶか、学ばないか、にある。
ということで、時代の「変化」を学び、その良し悪しは別にしても、
自分も変化に対応できるように、絶えず学ばなければならない、豊田章男さんもそれに違いことを述べているように思います。
豊田さんも高校から慶應義塾のため、福澤諭吉のスピリッツは深く根ずいているのかもしれません。
「道がクルマを作る」(ニュル24時間レース)
「道がクルマを作り、クルマを鍛え、そして人を鍛える。(中略)もっともっといいクルマを作っていきますから、楽しみに待っていてください」(2014年3月に公開されたニュルブルクリンク24時間レース参戦動画より。
ニュル24時間レースは、ドイツのニュルブルクリンクで毎年5月か6月に開催される24時間耐久自動車レースですが、
豊田前社長は、ドライビングスキルやクルマの評価軸を学ぶため、以前からニュルブルクリンクを走ってきてましたが、
大企業のトップが24時間レースに参戦するというニュースは驚きを持って迎えられたときのことです。
豊田章男さんは、トヨタ自動車の創業家のお孫さんであり、その志は、車が壊れると、自分自身も壊れたよう菜気持ちになる、という事を話されていましたが、そうした一種、
ご自身の分身のような存在になっている、ということなのでそうか。
たしかに、道はいつも順調ではないけれど、走る車が元気であれば、人も元気になれる、
そんな気持ちが伝わってくる気がします。
「誇りをもってクルマ屋といえる人を育てる」(ウクライナ危機)
「今後、私たちの作るものや提供するサービスも変わっていくと思いますが、私は、『クルマ屋』にしか作れないモビリティの未来があると信じております。トヨタの『思想』と『技』をしっかりと伝承し、『あなたは、何屋さんですか?』と聞かれたとき、『夢』と『自信』と『誇り』をもって、『私はクルマ屋です』と答えられる人財を育てることが、私のミッションだと思っております」
(ウクライナ危機により世界の分断が懸念される中で開かれた2022年株主総会でのスピーチ。)
このようにして、改めて「クルマ屋」であることの大切さをとき、後継者にも同じ志を持つ人を抜擢すると説いたのですよね。
この後から、現在はトヨタ自動車の会長となって、佐藤恒治(さとう・こうじ)新社長のサポートをしている豊田章男氏ですが、どんな言葉で見守ってくれるのか、
楽しみになっています。
2.豊田章男の名言は伝説のスピーチでも生き続けている理由に迫る!
豊田章男さんは、英語のスピーチもすごく得意で、日本ばかりでなく、アメリカや世界でも好評なのですよね。
いまやトヨタがグローバルカンパニーでありますから、英語も上手でないとということなのかとおもいましたが、
それ以前に留学とかもされていたのでしょうか?ちょっと経歴を探ってみます。
豊田章男の経歴と英語の関係
豊田章男氏は1956年愛知県名古屋市生まれ。

2025年現在は69歳とか70歳の古希だね!
小学校から中学は愛知教育大学付属名古屋中学校と名古屋市内ですごし、
高校は慶應義塾高等学校に進学し、高校在学中にはアメリカのハワイ州にわたり、
米国大統領も輩出したプナホウスクールで学んだ経験もあります。
1979年に慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後は、
アメリカに留学して、ビジネスススクール通い。
1982年にはバブソン大学経営学修士(MBA)を修了。
実業界に入られる前から、結構海外に出られていたのですね!

それだから、英語もわかりやすく深い内容を話している感じなのかな。
そうですね、それで、2019年5月18日、母校である、アメリカ・バブソン大学の卒業式で祝辞のスピーチをされましたのが有名ですね。
ボブソン大学での卒業式の祝辞はなぜ伝説のスピーチなのか①
そういうことで、学生時代から社会人までの間、アメリカでの経験も豊富な豊田章男さん。
2019年5月18日に行われた、豊田さんの母校であるアメリカ・バブソン大学の卒業式で祝辞のスピーチをされましたのが面白く手有名になり、伝説のスピーチとなっています。
卒業式の祝辞といえば、堅い話が定番になりつつあると思います。
国籍関係なく、学生たちは「また偉い人の退屈な話か…」と身構えていますよね、おそらく。
しかし豊田章男さんは、その期待を鮮やかに、そして完璧に裏切るところからスタートしましたよ。
それがおそらくこのスピーチのすばらしさをかたどったのではないかと思います。
「卒業後、どのような職につけるのか皆さんに不安もあるかと思いますが、
大丈夫です。皆さん全員に、トヨタでの仕事を提供します!」
ここでみんなからえ?という驚きと、なんかよくわからない安心感のような反応をとった後、
白い歯を見せながら、
「ただまだ人事部の許可はとっていませんが」
そして、すかさず完璧な「オチ」をつけています。
これにより、これが最高のジョークであると示し、親しみやすさと人間味を一気に演出します。
この冒頭の数十秒で、聴衆の心は完全に
「この人の話は面白いそう!」というモードに切り替わりましたよね。

英語でオチまでつけていてすごいわ。さすが、アメリカ留学時代の苦労は、面白さに繋がっていますよね。
ボブソン大学での卒業式の祝辞はなぜ伝説のスピーチなのか➁
笑いを取った後には、
「就職の件は安心したと思いますので、今日はもっと大事なことをお伝えします」
このような具合に、笑いでリラックスさせたあとに、大事な話に持っていく、ということで、引き込まれていきますね。
大事なお話の中には、「失敗を恐れずに挑戦すること」というのがあります。
ただ、その前に、豊田章男さんが、上からの目線で何か話すのではなく、
自分の学生時代は実はこうだった、という自己開示から初めておられます。
祖父の世代からの経営者というエリート街道を着ているような人物である豊田さんから、
自分たちと同じような存在だ、という共感が得られることにもなり、それがまた聴衆の心をつかんでいくのです。
申し上げておきますが、バブソンにいた時、私には社会生活はありませんでした。
私にとって、英語で授業を受けることは本当に大変でした。「パーティーにも行かなかったし、ホッケーの試合も見に行きませんでした」したがって、バブソンにいた時の私は、一言でいうと「つまらない人間」でした。
しかし、ひとたび卒業して、ニューヨークに仕事をしに行くと、私はたちまち失った時間を取り戻し、「夜の帝王」になったのです。
夜の帝王になったのは、ユーモアたっぷりですよね!
このように、英語のスピーチは、決して難解なものではなく、むしろシンプルで温かいもの。
また、大事なメッセージには、こんな一節があります。
Don’t be boring .(つまらない人間にならないで)
Try new things. (新しい事に挑戦してください。)
この言葉に、豊田さんの経営哲学の全てが詰まっているように感じます。
これは、やはり、日本国内で豊田章男さんが話ていらっしゃるように、
「私たちは変化し続けなければならない」ということ、そのために絶えず新しい事に超然していこう、そういう事だと思います。
ボブソン大学での卒業式の祝辞はなぜ伝説のスピーチなのか③
そしてスピーチの最後にはこのようなしめくくりにしています。
「自分だけのドーナツを見つけてください
(I want to encourage all of you to find your own donut.)」
「情熱を見つけよう!」というありきたりな言葉を、
誰もが知っている、かつユーモラスな「ドーナツ」という比喩に置き換えています!
スピーチが終わった後も、豊田章男さんのお話が心にのこり、また思い出してしまうような、そんな工夫がされているのです。
また、その自分だけのドーナツを見つける、ということについては、
トヨタという巨大企業を率いながらも、「完璧よりも人間らしさ」を大切にしてきた姿勢がまっすぐに伝わってくるのです。
スピーチ全体を通して印象的なのは、どんな場でも「自分の言葉」で話していること。
原稿を読むのではなく、聴衆に語りかけるように話すスタイルは、まさに豊田章男さんの信条「現場主義」と繋がっていますね。
また、ユーモアを交えながら話す姿もいつも魅力的だったのですが、
例えば、「学生時代は勉強よりクルマいじりに夢中だった」と笑いを誘いながら、自分らしく生きる大切さを伝えてこられてますからね。
3. 豊田章男の名言にある言葉が強くておもしろい理由 まとめ
ということで、豊田章男さんの言葉や、英語の祝辞はなぜ伝説のスピ―チと言われるのかと述べてきましたが、
皆さんはどう思われたでしょうか?
といったところでしょうか。
このようにして、豊田章男さんの言葉には、聞く人の心を動かす”力強さ”があります。
けれどもそれは、難しい経営理論や専門用語の力ではなく、
どこか親しみやすく、実体験からにじみ出る”人の言葉””自分らしくいること”が見える
だからこそ響くのかもしれません。
例えば豊田章男さんがよく言われることばに「クルマ作りは人づくり」があります。
この一言に、トヨタのものづくりの本質だけでなく、社員を信じ、挑戦を支えるリーダ―としての思いが表れているように感じます。
いつも”ユーモア”のある豊田章男さんの言葉。
笑う時も、また怒るときも、どこか柔らかく場を和ませる。
記者会見でジョークを飛ばしならも本音を隠さない姿勢から、
「この人は本気で話しをしている」と肌で感じ取れます。
スピーチでもよく語られている「失敗を恐れないこと」
これは、トヨタ社長就任当初から「自分も現場で失敗をしてきた」と繰り返し語り、
社員たちにも「挑戦して転ぶことを、悪いとは思わない」と伝え続けていますからね。
そうした姿勢が豊田章男さんの言葉に重みを与えています。
力強いのに押し付けがましくない。
経営者というよりは”仲間のリーダー”としての温かさを感じるのです。
だからこそ、豊田章男さんの言葉は多くの人の心に残り、
ビジネスを越えて「生き方のヒント」として語り継がれているのかもしれません。
これからの豊田章男氏からの言葉には、力と、大変な時代だからこその笑いを大事に感じとって
生きていきたいと思います。

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