文豪たちが特殊な能力をもちながら、様々な事件や戦いに立ち向かう姿が描かれている文ストこと「文豪ストレイドックス」。
この文ストの中で、福沢諭吉は、武装探偵社の社長です。
彼の特殊能力、すなわち異能力を表すことばに、「人士人不造」が使われています。
これは何と読むのでしょうか?
どんな意味があるのでしょうか? わかりやすく解説していきましょう!
1.「人上人不造」福沢の異能力、この読み方は?
文ストの福沢諭吉は、武装探偵社の社長で、「人上人不造」という異能を持っています。
この異能力「人上人不造」はどう読むのかと言うと、左からそのまま読むのではなりませんでした。
縦書きにするとわかりやすくなります。
更にいうと、漢文の書き下し文のように仮名を入れて、縦に書き換えてみましょう。こんな感じです。
人
ノ
上
二
人
ヲ
不
造
これだといかがでしょうか?
人ノ上ニ人ヲ=「人の上に人を」、とそのまま読みます。
次に、漢文の読み下し文での「不」は「~ず」(~しない)との意味です。ここはひっくりあ消して読みますので
不造=「造らず」(造らない)となります。
結論から言うと、「人の上に人を造らず」と読みます。
なるほど、ここまでいうと、この言葉を聞いたことがある人も多いかもしれません。
さて、この「人の上に人を造らず」とはどんな意味があるのでしょうか?
2.「人上人不造」福沢の異能力、この元ネタは?
文ストの福沢諭吉のモデルとなったのは、一万円札の人だったことで知られる福澤諭吉先生です。
ここでは、文ストの福沢と区別するため、福澤諭吉先生と書く事にします。
この「人の上に人を造らず」というのは、1872年に、福澤諭吉先生が37歳のときに出版した「学問のすゝめ 初編」(学問のすすめ 初編、と読みます。)の中のことばです。
この本の、第一遍の最初に書いている文章の一部なのです。
原文は、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず…」というところです。
この部分だけが非常に有名で、この部分だけから解釈をしていくと、
人には上下がなく、みな平等である、という意味としてとらえている人も多いです。
(この言葉続く後の文章が、実もっとも大事で、そこに深い意味があります。「学問のすゝめ」にどのような事が書いてあったのか、それについては別の記事でたっぷり解説します)
簡単に言うと、人の上に人を造らず、というけれど世の中には社会的地位の高い人もいれば、低い人もいる。
賢い人もいれば、愚かな人もいる。
その差や違いはどうして出来るのかと言えば、ただその人に学問をする力があるのか、ないのか、によって違いができたのである。
というように説いています。人の地位や財産に、生まれつき上下はないけれど、
人の働き(学ぶことをするかしないか)次第で決まる、ということです。
つまり人は平等ではなく、学ぶか学ばないか、という競争原理がある、という意味を持つこの言葉が元ネタなのです。
3.「人上人不造」福沢の異能力の内容をおさらい
さて、文ストの福沢のこの「人の上に人を造らず」というのはどんな力(異能力)となっているのでしょうか?
これは、異能者の異能力を調整できる力です。
異能力を調整できるというのはどういう意味でしょうか?
異能というのは、文字通り異質な能力ですから、それを100パーセント自分自身で制御するのが難しい事もたくさんあると思います。
そうすると福沢の異能というのは、異能制御にお悩みの異能者にとっては極めてありがたい異能なのともいえるでしょう。
どんなふうに調整しているのでしょうか?
実際には、福沢自身が社長をする武装探偵社の社員となった異能者だけに、その異能が発揮できるようにコントロールする力なのです。
探偵社の入社試験を突破して正式な部下となった相手にしかこの異能を使うことができないっというものですね。
どうして社員だけなのでしょうか?
異能制御にお悩みの異能者全員ではなく、武装探偵社の社員である異能者のみに働く異能なのは何故でしょうか?
疑問符がついてしまいます。
4.「人上人不造」福沢の異能力は、なぜ社員だけに効く?
福沢の異能力は、なぜ武装探偵社の社員だけにはたらく異能なのか?
それは、一言でいえば、福沢社長の武装探偵社は、そもそも異能をもつ社員のために設立された、社員の能力を活かすために設立されたものだから、と言えるでしょう。
それを裏づける理由として考えられることがいくつかあります。
それらについて、福沢のこれまでの生きざまを順に追っていきながら説明していきたいと思います。
4ー1福沢の異能は武装探偵社設立前は使っていなかった
福沢は武装探偵社を立ち上げる以前は、政府直属の暗殺剣使い「孤剣士金狼」(こけんしきんろう)と呼ばれ、裏社会では名の知れた剣士だったのです。
異能力と言われるものは持っていなかっですし、本人も自覚がありませんでした。
終戦時には、戦線拡大派の高官や軍人の首を切り落とし、終戦終結に一躍買ったという過去を持っている人物でした。
それゆえ、その戦闘能力の高さと言えば、疑いのないような存在だったのです。
福沢が政府直属の暗殺者を辞めることになったのは、自身が技量におぼれ、国の為ではなく自分のために暗殺を行っているのではないか?と疑うようになりました。
ひどいときには暗殺の依頼が来ることを待ち望むようになってしまっていたらしいのです。
暗殺というのは正義をなすための手段だったはずなのに、勝ちにおぼれて暗殺が目的っていう状態になってしまったんですね。
目的と手段が逆になってしまう人は結構いますね。ここに気付けるというのはやはり福沢には、武装探偵社設立後にみられる気高さが、この当時からあったのかもしれません。
更にいうと、国の為ではなく、自分の為だけに行っていることに、心の葛藤があるという点は、
福沢のモデルになった福澤諭吉先生の、明治時代の初期という時代の中での思いと似ているとこがあると感じます。
福沢諭吉先生は、戦後すぐでまだ日本が国として独立が難しいときに、
自身が独立していれば、国の独立にもつながる、ということを語っていました。
個人の独立の延長に、国の独立があるということでした。
4-2 福沢の異能力と武装探偵社設立のきっかけは江戸川乱歩
さて福沢ですが、武装探偵社を設立したのは、のちに福沢が出会う江戸川乱歩の才能を開花させるためだったから、という説があります。
江戸川乱歩の才能や能力については以下、別の記事で詳しく書いています。

また、与謝野晶子が文ストの中でそう言っていたから、ということも理由の一つです。
また、ストーリー展開からそれが読み取れる、という理由もあります。
福沢は、誰かを暗殺するのではなくて、人を守りたい、という本来の自分に立ちもどって、誰とも組まないでフリーとして活動していたときのことです。
その活動中に、まだ少年だった江戸川乱歩に出会います。
乱歩には両親もいないし、生きていくために仕事を探さなければならない、就職面接を受けに行くとき途中の彼と出会い、ある劇場に向かいシーンがありましたね。
その時のある事件をきっかけに、福沢は、乱歩が優秀すぎる頭脳を扱いきれていない子供である、ということに気が付いてしまうわけです。
優秀すぎるが故に、放っておけば危険な存在にもなりかねないとの心配から、それは君の能力だ!と乱歩に言い聞かせます。
乱歩はそのころ、子供なりに悩んでいました。
周りになじめず、仕事をしても長く続けられずにいました。
そんな苦悩をしていたときに、この福沢に出会があったのです。
そして、福沢に「君は異能持ちだから、普通と違って当然だ」って言ってもらえて、
乱歩はまるで暗示にかかるかのように、すんなりと福沢のことばを受け入れていったのです。
相手が一番望んでいる言葉をサラリと口にできちゃうくらいだから、探偵社の社長になる前から、福沢には人を掌握する力があった、ということなんでしょうかね。
とにかくこの福沢の暗示の言葉によって乱歩は「超推理」という異能を手に入れていきます
つまり福沢は、事件を解決するためには、乱歩の推理力の才能が必要であると考えて、
乱歩の推理力と自分の武術の両方を生かすために、武装探偵社を設立することになったと考えられるわけです。
そしてそれは、自分自身が正義でいたい、と考えるようになっていた福沢自身の夢を叶えることにもなっていくのだと思います。
4-3 「人上人不造」福沢の異能力発動のきっかけは森鴎外
福沢がある依頼をうけて、森鴎外の警護をすることになりましたね。
ただ、この出会いが今後の運命を決定づけている、という説があります。
出会ったころの森鴎外は、まだ闇医者をやっていました。
ただ後にポートマフィアの狩猟になるんですね。
それについて、福沢は森が危険な思想を抱いた男ではあるけれど
自分の信念と重なるものを持っている男でもあることも感じます。
結果、万物を見抜く最強の異能者にしていく。
この時武装探偵社の設立の後ろ盾となってくれた夏目漱石が構想した「三国構想」の一躍を担うことになります。
探偵社創立メンバーの組織の長になることになった福沢は、そのことをきかっけに、自身が異能持ちであったことに気付いていきます。
そしてその異能が「人の上に人を造らず」なのです。
福沢は、自分に部下ができてから初めてその力、すなわち異能を発揮できるようになったのです。
まさに、「人の上に立つ」というのが天職みたいな人なんだと言えるかもしませんね。
「人上人不造」福沢の異能力から言えること
さて、福沢の異能力(異能者の異能の出力の調整)というのは、その異能者が、入社試験でめでたく合格をして、武装探偵社の社員になってから、ということでした。
そして社員になれば異能力の出力の調整が福沢によってなされる。
この入社試験というのは極めて厳正に、注意深く行われているはずです。
書類選考だけだったり、筆記試験だけということではないようです。
福沢は、日頃から「仲間が窮地、助けなければならん!」等どいっています。
なので、大事なものをまもるためには、己を犠牲にしなければならないときがある、というのを行動や言動からみせているとれます。
大事な物を守るためには、己の全てをかけてでも守らなければならない、という武装探偵社の企業理念といいますか、哲学のようまのもがあって、
それができる人物だとみなされれば、めでたく福沢部下になれて、その異能が適用されるというものだといえます。
例えばこんなことがありました。
福沢が泉鏡花に異能をかけるシーンがありました。
Second シーズンの最後、24話「若し今日この荷物を降ろして善いのなら」でした。
鏡花は、はじめは、厳密には探偵社員ではなかったため、探偵社員が自身の異能の制御を可能にするという、福沢のこの異能がきいていませんでした。
ただ、まだ入社試験を突破していなかったのですが、ヨコハマの民を守るため、自分の命と引換えにしてでも白鯨を墜落させるという考えに至ったことが、試験合格の鍵となりましたね。
こうして試験合格後、無事に鏡花は異能力である「夜叉白雪」を制御することが可能になったのです。
一方、福沢社長の異能は、自分で制御しているものではない、つまり「この人に異能をかけよう」と思ってかけるタイプの異能ではないということです。
現に社長自身も、探偵社の社長となるまでは自身の異能に気づいていなかったと語られていました。
なので、よって、異能をかける、という表現はあまり適切ではないかもしれません。
異能を発揮するように促せる力があり、無意識に使いこなしている、そんなイメージでしょうか。
福沢社長が異能者、というよりは、福沢の社員たちが、異能を主体的に使えるようになっていく、そんな手助けをしている役目、ということのように、私は思っています。
「人上人不造」 福沢 異能力についてのまとめ
さて、とりあえず今回は文豪ストレイドッグスの武装探偵社のカリスマ社長
福沢諭吉の異能力「人上人不造」について解説してきましたが
皆さんはどう思われたでしょうか?
個人的には、実際のストーリー展開を追っていくと、個人的的には、モデルとなった福澤諭吉先生との共通項もあると思いました。
以下にまとめます。
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